その後も、
松久怜央の悲劇は続きます
ムカデに悩まされながら迎えたある日
僕は会社で、絶対にやってはいけないミスをしてしまいました
結果…
会社に約1000万円の損害
頭が真っ白になりました
謝っても、取り返しはつかない
足が浮いているような感覚
その頃の僕は、
もう薄々気づいていました
「この仕事、俺、向いてないわ」
辞めたい
逃げたい
正直、限界でした
でも、その想いを当時の彼女に打ち明けると、
返ってきたのは
「安定しているから辞めない方がいいと思う」
そこから、すれ違っていく毎日で
自分の人生なのに、
自分で決められない感覚
そして結局僕たちは別れました
同時に、僕は会社も辞めました
残ったのは、肩書きも、安定も、何もない自分
「俺、何がしたいんやろ」
失業保険を貰いながらバイトして過ごしていたある日。
たまたま参加していた特攻隊員を題材にした
ミュージカルのボランティア活動で一人の人物と出会います
同じグループになったその人は、
何気ない会話の中で、こう言いました
「俺、菌ちゃん農法っていう農法を教えてるんだよ」
……菌ちゃん?何それ?
話を聞くと、
その人は愛知県の人でしかもその次の週、
なんと僕の地元で講演会をやるといい
これはもう、
呼ばれてるとしか思えませんでした
深く考えず、
本当に気軽な気持ちで講演会に参加しました
でも話を聞いた瞬間…
「これだ!!!!!」
頭じゃなく、
心と体が先に反応しました
菌
土
命の循環
現在の日本
全部が、一本の線で繋がった気がしました
「俺、農家になる」
そう決めた僕は、勢いで父ちゃんの畑を借り
すぐに実践を始めました
そして農家としてやっていこうとスタートを切った直後、
菌ちゃん農法を作った張本人であり、
菌ちゃん先生こと吉田さんの講演会に足を運びます
講演会が終わった後、
勇気を出して声をかけました

「僕、菌ちゃん農法で農家になりたいです!」
すると吉田さんは、
一切の迷いなく、こう言いました。
「あんた農業初心者!?それは無理やろ〜、菌ちゃんふぁーむに一度来てみたら?」
……グサッときました。
でも、
なぜか不思議と腹は立ちませんでした
むしろこれだけ努力を重ねた人に言われたなら
多分失敗するのだろうと思い、素直に言います
「修行させてください」
こうして僕は、
菌ちゃんふぁーむで修行する道を選びました
逃げずに、
向き合う人生を選ぶために
ムカデから始まったこの話が、
今の僕に繋がっているなんて
人生って、
本当に嘘みたいなホントの話だと思います
